2020年のノーベル文学賞の受賞者はアメリカの詩人ルイーズ・グリュックに決まったけど、事前の予想ではだれが有力だったのかな。日本人作家が受賞する可能性もあったのだろうか
20年の有力候補が21年以降に受賞する可能性も大いにあるもんね。こうした疑問や悩みに答えていくよ
【この記事で伝えたいこと】
- 2020年のノーベル文学賞受賞者はアメリカの女性詩人ルイーズ・グリュック
- 事前に有力視された候補者
- ブックメーカーの発表直前の順位
- 村上春樹は3番人気だった!
- それぞれの候補者の代表作
- 気になる日本人候補
2020年の受賞者は10月8日に発表されました。
受賞者はアメリカの女性詩人ルイーズ・グリュック。
この記事では、事前に予想されたノーベル賞の有力候補を列挙しました。
読書好きでなくても、ノーベル文学賞の有力候補になる作家の作品ぐらいは読んでおきたいよね。21年以降に受賞するかもしれないですし
わが家が赴任した英国などの欧米諸国では、教養のない人は社会で相手にされないんだよね。政治家や芸能人、そして普通の市民の多くも、歴史や文化にとても詳しくて驚くよ
ノーベル文学賞の有力候補は?
有力候補といっても、選考過程が事前に公開されるわけではありません。
候補を予想する上での一つのよりどころとなるのが、英ブックメーカー(賭け屋)の賭け率です。
そのうちの一つ、「Nicer Odds」(ナイサーオッズ)の2020年の受賞者発表直前の賭け率(10月7日時点)をもとに、1番人気だった作家から順番に、有力視された候補を紹介していきますね。
ちなみに上位の順位はこんな感じでした
実際に受賞したルイーズ・グリュックは同率で19番目の人気でした
人気順 | 名前 | 出身国 | オッズ |
1位 | マリーズ・コンデ | フランス(海外県) | 5倍 |
2位 | リュドミラ・ウリツカヤ | ロシア | 6倍 |
3位 | 村上春樹 | 日本 | 7倍 |
3位 | マーガレット・アトウッド | カナダ | 7倍 |
5位 | グギ・ワ・ジオンゴ | ケニア | 9倍 |
6位 | アン・カーソン | カナダ | 11倍 |
6位 | ハビエル・マリアス | スペイン | 11倍 |
6位 | 高銀 | 韓国 | 11倍 |
9位 | 閻連科 | 中国 | 13倍 |
10位 | アニーエルノー | フランス | 17倍 |
10位 | ドン・デリーロ | アメリカ | 17倍 |
10位 | 残雪 | 中国 | 17倍 |
10位 | コーマック・マッカーシー | アメリカ | 17倍 |
10位 | マリリン・ロビンソン | アメリカ | 17倍 |
… | … | … | … |
19位 | ルイーズ・グリュック | アメリカ | 26倍 |
ノーベル文学賞のブックメーカーでの人気順は?
では、受賞者のルイーズ・グリュックを筆頭に、事前の賭け率で人気の高かった作家を順番に紹介していくよ!
【2020年の受賞者・事前の人気19位】ルイーズ・グリュック
- ルイーズ・グリュック(Louise Glück)
- 1943年生まれ(受賞発表時77歳)
- アメリカNY生まれの女性詩人
- アメリカ人の文学賞受賞は2016年のボブ・ディラン以来
- 主な受賞歴は「Wild Iris(『野生のアヤメ』の意味)」(1992年)のピュリツァー賞、「Faithful and Virtuous Night(『忠実で高潔な夜』の意味)」(2014年)の全米図書賞
邦訳は出ていないみたいだね
【1位】マリーズ・コンデ
- マリーズ・コンデ(Maryse Conde)
- 1937年2月生まれ
- カリブ海のフランス海外県グアドループ出身の黒人女性作家
- カリブ海出身の女性の姿を描いた自伝的小説「エレマコノン」、奴隷貿易の実状を明かした歴史小説「セグー」が有名
- 代表作はほかに、魔女裁判がテーマの「わたしはティチューバ」、自身の過去を振り返る「心は笑ったり泣いたり」
【2位】リュドミラ・ウリツカヤ
- リュドミラ・ウリツカヤ(Lyudmila Ulitskaya)
- 1943年2月生まれ
- ロシアの女性作家
- プーチン政権に批判的な立場で知られ、反政権デモにも参加
- ソ連時代の一般的な女性の日常を描いた「ソーネチカ」、第2次大戦中にナチスの通訳を担った実在のユダヤ人神父を取り上げた長編小説「通訳ダニエル・シュタイン」、スターリン時代の家族を描いた「クコツキイの症例」が代表作
【3位】村上春樹
- 村上春樹
- 1949年1月、京都市生まれ
- ジャズバーを経営した後、1979年に「風の歌を聴け」で作家デビュー
- 代表作に「ノルウェイの森」や「ねじまき鳥クロニクル」「1Q84」など
- 長編小説の最新作は「騎士団長殺し」
- 毎年のようにノーベル文学賞の有力候補に
【3位】マーガレット・アトウッド
- マーガレット・アトウッド(Mararet Atwood)
- 1939年11月生まれ
- カナダを代表する女性小説家・詩人
- カナダ人の受賞となれば、2013年の女性短編作家アリス・マンローさん以来
- 女性が主人公のSFやミステリータッチの長編小説を発表
- ベストセラーとなった「侍女の物語」(1985年)は後に映像化された
- 2000年には「昏き目の暗殺者」で英国の文学賞ブッカー賞を受賞。17年にはチェコのフランツ・カフカ賞
【5位】グギ・ワ・ジオンゴ
- グギ・ワ・ジオンゴ (Ngugi Wa Thiongo)
- 1938年1月生まれ
- ケニア出身の作家
- アフリカの植民地からの精神的解放や文化の創造を信念を持って主張
- 自伝的小説「泣くな、わが子よ」や、宗教と農村社会の微妙な関係を描いた「川をはさみて」、ケニア社会の強権政治の不正を追及した「血の花弁」が代表作
【6位】アン・カーソン
Si te gusta la poesía, te invitamos a descubrir la obra de Anne Carson, Premio Princesa de Asturias de las Letras 2020, y a participar en la acción #YoRecitoAnneCarson.
— Fundación Princesa de Asturias (@fpa) September 28, 2020
Toda la información en la siguiente imagen 👇. pic.twitter.com/IgpxvqKVuz
アン・カーソンは19年の事前オッズで1番人気だったよ
- アン・カーソン(Anne Carson)
- 1950年6月生まれ
- カナダを代表する女性詩人
- ギリシャの古典文学と現代社会を融合させた作風が特徴
- 神話の世界観のもと、同性愛など現代の問題にも踏み込んだ詩小説「Autobiography of Red」(「赤の自伝」の意)などが代表作
- カナダ人の受賞となれば、2013年の女性短編作家アリス・マンローさん以来
残念ながら、今のところ翻訳版は出版されていないようです。
ノーベル文学賞の日本人有力候補は?
事前予想でオッズの上位には入っていなかったけど、日本人の有力候補をほかにも紹介するね
多和田葉子
19年の事前のオッズでは19位にランクインしていました。
今後も有力な候補者の1人に違いないね
- 多和田葉子
- 1960年3月、東京都生まれ
- 女性作家で詩人
- 早大卒業後、82年にドイツ移住、日本語とドイツ語で執筆
- 「犬婿入り」で芥川賞受賞。米国の代表的な文学賞である全米図書賞の翻訳文学部門に小説「献灯使」が選ばれた
- 2014年に日本で刊行された「献灯使」では、大震災によって核で汚染された近未来の日本を舞台にした
小川洋子
オッズにはランクインしていませんでしたが、2020年の英国の文学賞「ブッカー賞」で最終候補にまで残った小川洋子さんも、ノーベル文学賞の有力候補の一人といっていいでしょう。
- 小川洋子(おがわ・ようこ)
- 1962年3月、岡山市生まれ
- 女性作家
- 主な著書は芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」、ベストセラー「博士の愛した数式」など
- 小説「密やかな結晶」は2020年、世界的に権威がある英国の文学賞「ブッカー賞」の翻訳書部門に位置付けられる「ブッカー国際賞」で最終候補の6作品に残った(受賞は逃す)。19年の全米図書賞翻訳文学部門候補にもなっている。
伊藤比呂美
同じくノーベル文学賞の候補の一人に挙げられるのが詩人の伊藤比呂美さんです。
- 伊藤比呂美(いとう・ひろみ)
- 1955年、東京都生まれ
- 女性詩人
- 主な受賞歴は、「河原荒草」で高見順賞、「とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起」で萩原朔太郎賞。2015年に早稲田大学坪内逍遥大賞を受賞
- 有名な著作はほかに「父の生きる」「女の一生」「切腹考」など
谷川俊太郎
【#をちこちMagazine】#国際交流基金賞 を受賞した詩人の #谷川俊太郎 さん。平易なことばで綴られる明快かつリズミカルな詩は、国内はもとより海外でも広く愛されています。谷川さんに日本語、コミュニケーションや詩作について伺いました。
— The Japan Foundation 国際交流基金 (@Japanfoundation) December 26, 2019
谷川俊太郎さん特別インタビューhttps://t.co/iMCOakRubV pic.twitter.com/lluCu6tWIq
日本の教科書にも載っている詩人の谷川俊太郎さんも候補者の一人。
- 谷川俊太郎(たにがわ・しゅんたろう)
- 1931年12月、東京都出身
- 詩人
- 52年に詩集「二十億光年の孤独」を発表してデビュー。これまでに2000を超す詩を創作し、海外での評価も高い
- 詩集のほかにも散文や絵本、童話、翻訳、脚本、写真も手がける
- 主な受賞歴は、1983年「日々の地図」で読売文学賞、1993年「世間知ラズ」で萩原朔太郎賞、2010年「トロムソコラージュ」で鮎川信夫賞、 2016年「詩に就いて」で三好達治賞など
- 代表作に「六十二のソネット」「旅」など
まとめ
この記事では、ノーベル文学賞の有力候補者を紹介してきました。
1年に1度、世界中が注目するノーベル文学賞。
何ごともきっかけが大事。ノーベル賞作家の著作を1冊手に取ることで、あなたも奥深い読書の世界へ!!
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